2024/08/23 17:39


個性的で豊かな個店の集まる商店街がまっすぐに伸び、近隣に住む人と遠方から訪れる人が交差する町。

吉田松陰が眠る大きな神社の近辺にあるからか、ここ、松蔭神社前は不思議と東京でありながら東京らしくない、穏やかで落ち着きのある空気が流れています。

そんな町にあった築50年のアパート。

窓を開けると東急世田谷線が走る線路が間近にあるこの建物の2階をリノベーションし、MA STORE(エムエー ストア)という小さなお店を始めました。

 

MAとは日本の伝統的な美意識である間、作り手の買い手の間、床の間など部屋の意味。または店主の名前からつけました。


かつて宗教哲学者の柳宗悦が提唱した”民藝”という概念。

人々の暮らしにともにある日常の生活道具を「民藝(民衆的工芸)」と名付け、これらは華やかな美術品にも負けない美しさがあり、美は生活の中にあると語りました。

そして、各地の風土から生まれ生活に根ざした民藝には用に則した健全な美が宿っていると、新しい美の見方や美の価値観を提示したのです。


民藝という言葉の誕生からおよそ100年が経ち、その言葉の意味するところはさまざまに姿を変えながら現代にまで残り続けました。

そうして、MA STOREにはその精神性や美意識を引き継ぎ、それぞれの表現でモノを生み出す作家たちの作品が集います。


近代産業が発達し、あらゆるモノが溢れてしまっている今、あらためてものとの付き合いかた、選び方と向き合い、考えなければいけない時代であると感じています。

そんな時代において、MA STOREはその中のひとつの物差しとなり、ものづくりに取り組む作り手である彼ら、彼女らから生まれてきた作品を称え、ひとりでも多くのお客様へ齟齬なくお届けできるように精進してまいります。

いにしえから続く伝統へ敬意を払いながら、近代産業における恩恵を否定するわけでもない。

そのどちらもが両立する第3の道を模索していければと。