2025/07/07 18:38

漆器という分野には、個人的には少し閉塞感を感じていた部分がありました。
日本の工芸という側面で見れば世界的に評価されているものではありますが、その多くが伝統的な技術の優劣のみによって判断されているような印象を受けていたのです。
そこでMAではできれば若手の漆作家、それも伝統的な技術を基礎にしながらも、これまでにない漆の魅力を追求している方の作品を取り扱えればと探していた時に、山口市の地域おこし協力隊に20代の男女が着任したという記事をウェブで見つけたのが津村さんを知ったきっかけでした。

彼女の作品は、良い意味で漆芸らしくない。
彫刻のように有機的かつシャープなフォルムを象り、絵を描くように漆を塗り重ね、人肌のようなうつわを作ります。
そして、今回ご用意いただいたのが"my skin"という作品。
漆芸のみならず、様々な作品を制作される津村さんの、彼女らしさが最も表現されていると感じたシリーズです。
1点1点、少しずつ大きさも違う繊細でゆらぎのある造形、若干の筆跡が残された表面、優しい温もりを感じる表情。
これまで漆器に対して持っていたトラディショナルなイメージをほんの少し変えるような、こんな作品が世に多く生まれ続けば、それは漆芸の未来にもつながっていくような気がしてなりません。

7月12(土)、13(日)は山口県から津村さんにもお越しいただき、ご来店いただく皆さまをお迎えいたします。
東京では初のお披露目になるとのことですので、どのような反応をいただけるのか今から楽しみです。
津村真衣
my skin
¥6,600-(tax in.)〜¥9,350-(tax in.)
津村さん在店日:7月12日(土)13日(日)